研磨職人
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研磨
FUSO DREAMのパターヘッド、アイアン・ウェッジヘッドの研磨をしているのは姫路の名匠 三坂昇氏、田淵正敏氏の両名です。
姫路で発祥(正確には
辛い修業と研鑽…殊に、経験だけでは如何んともし難い“センス”を問われる『研磨職』は、まさに芸術の域、ゴルフクラブ製造の花形職と言えます。
さて昨今、ゴルフ業界に「研磨職人」という“言葉”が蔓延ってはいますが…『研磨職』という“職人(職種)”を本当の意味で知っている人が何人いるのでしょうか?。
一口に「研磨作業」と云っても、実は、その工程には様々な段階があり、少しの知識と興味さえあれば素人でも充分に熟せる作業から、特殊なセンスを持っていなければ絶対に携ることが出来ないと云われる作業まで多種に亘っています。
①『バリ取り』
②『顔取り』
③『刻印』
④『ハンマー』
⑤『荒研磨』
⑥『振動バレル』
⑦『磨き』
⑧『遠心バレル』
上記①~⑧までの鍛造製品研磨工程の順を例にとって“製品研磨”を御紹介します。
①『バリ取り』
金型で鍛造した鍛造ヘッドに付着した“バリ”を、ベーダーで取り去る作業。
②『顔取り』
上記「バリ取り」の作業の後、歪んだフェース面の“平面を出す”と同時に、平面が多いがゆえヘッド重量を一番落とし易いフェース面を研磨することにより、個体差のでている鍛造ヘッドの“ヘッド重量を揃える”という作業を「顔取り」といいます。
優れた研磨職人の場合、「荒研磨」での重量調節が可能であるため「顔取り」で落としてゆく重量は少ない。
③『刻印』
上記「顔取り」の作業の後、メーカー名や番手スコアラインなどの“刻印”を施す必要があります。
一見、容易い作業と勘違いしがちですが、圧力のかけ方など、手練の技術を要する非常にデリケートな作業です。
④『ハンマー』
金槌を使って、ロフト・ライの調角、ひいてはフェースプログレッションまでをも“手で叩く感覚”のみで調整します。
この作業の難易度は可成り高く、この道30年という職人でさえ“自分のハンマー(金槌)でなければ難しい”という、まさに熟練の技術を要する職人芸と言えます。
⑤『荒研磨』
上記工程を経た鍛造ヘッドを製品として整形してゆく作業を「荒研磨」と言います。
膨大な数を、設計通り正確に研磨してゆく“腕”を要する「荒研磨」の作業は「ハンマー」の工程を除く全ての作業に精通して初めて可能な“匠の技”。
⑥『振動バレル』
「荒研磨」の作業を経た製品ヘッドの、ペーパー目を落とす作業が「振動バレル」を使った研磨です。相当量のヘッドを砥石と共に振動させる。ヘッド同士がぶつかり合った“打痕(だこん)”と呼ばれる当り傷がつきます。
⑦『磨き(仕上げ研磨)』
上記「振動バレル」で発生した打痕など、細かい傷を取り去るためにヘッドを磨き上げる作業…これが「磨き」と呼ばれる研磨作業です。
⑧『遠心バレル』
最終作業として、一個一個の層にヘッドを納め砥石と共にグルグルと回す「遠心バレル」を使った最終研磨を行います。
ゴルフクラブ製造の世界では、上記①~⑧全ての工程に精通するは勿論、全ての工程に熟練して初めて『研磨職人』と呼ばれます。
昨今「研磨職人」と自負する人間の中に、さて何人の“本物の研磨職人”が存在しているでしょうか。
設計通りに“同じ重量”で“同じ顔”に“同じソール”で“同じネック”に、僅かな時間で幾つも幾つも研磨してゆく“その技術”は、まさに研鑽に研鑽を重ねたセンスの為せる技。
『匠の技』
に他なりません。その技術を目の当たりにした時、言葉にならない衝撃がありました。
敢えて問いたい・・・
さて、この日本に、本当の『研磨職人』と云える“匠”が何人残っているのでしょうか?。
『研磨職人』にとってゴルフクラブは、“作品”であり“芸術”であるといいます。
“匠の技をその手に・・・”