研究用に積み上げられた様々なメーカーのパターと試作品の数々。
多くのプロに認められ、パターの第一人者と言われる三坂の工房には飽くなき追求の爪痕が多く残されている。
それが三坂 昇という男を物語っていた。
手先の器用さを活かしクラブ作りの道へ。
当時のゴルフブームの中で三坂の削ったパターは脚光を浴びた。
様々なプロの使うパターを研究し、それを上回るものを提供する中で多く出される要求をクリアしていきながら、視覚的に丸くして柔らかく見せる事に意識を向け始めた。
「角を殺す」事でゴルファーがパターを持った時に気になる部分を無くすのである。
機械で作られた工業製品では直線は作り出す事を出来ても、実際に構えた時の微妙なラインの調整が難しいこれを三坂の研磨技術で調整していく、そして構えやすく違和感のないかたちが生まれていくのだ。
そして研磨と表面処理に対するこだわり。
鉄、銅、ステンレスなど選択する素材により打感は変化する。
これらの研究による、あくなき追求こそが精錬としたパターを生み出していく。
パターは、プロさえ負かす事が出来るグリーン上の競技である。
ドライバー、アイアン、アプローチ等では勝負にならないかも知れない。
しかしこのグリーン上の競技であればプロ以外の人が練習によってプロにも勝つ事が出来るかも知れない。
それには構えやすく、引きやすくタッチがソフトな研磨の天才三坂の仕上げたパターが必要だ。
「自分のカラーは要らない、ゴルファーのカラーを光らせるパターを生み出していく」
そう言って彼は微笑んだ。
三坂のパターを持つ事の喜びを味わって欲しい。